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by 6_coloured_apple

「神話の崩壊」かな

「神話の崩壊」かな_d0021247_1416.jpgフルトヴェングラーと言えば、クラシック好きなら一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。特にベートーヴェンの「第9」なら、モノラルながら「1951年のバイロイト盤」が一番、という人も多いでしょう。
かく言う私も、中学生の折りに御多分に漏れず『フルトヴェングラーの名盤』という本のあの独特の語り口調(「〜であるといえよう」ってやつですね)にやられてしまった口で、聞くよりも前に、歴史的な背景(第2次世界大戦後初めてのバイロイト音楽祭のオープニングを飾ったとか)を含めて、妄想が膨らんでいたわけです。最初はLPの、しかも今から考えると擬似ステレオで音像もぼやけていたと批判されるものだったわけですが、まあよく聞きました。
CDになっても、最初に買った第9はこれでした。音がよくなっているという触れ込みの「足音入り」とかいうCDも買いました。
巷では、さらにいろいろな復刻が行なわれていて、やれ初期盤LPから音を拾ったとか、本家EMIからも24ビットやらなにやら様々な復刻がされています。
私は、とりあえず例の「足音入り」できれいに聞けるなあと満足してしまったので、それ以上は手を出しませんでした。

しかし、ここへ来てそんな音の違いなんて些細な問題にしてしまうような大事件が起こりました。これまで聞いていたものとは違う演奏のテープが、放送局で発見されたというのです。レコード会社の倉庫なら、すでに編集済みのものかもしれませんが、放送局の倉庫であれば、「こりゃホンモノに違いない!」と思いますよね。もちろん、私もそう思い(笑)、早速予約しました。

最初はファンクラブの会員向け限定での頒布という形をとっていたのですが、めでたく市販されることになりました。年末ギリギリの発売ですので、いわゆる「年末の第9」に間に合うかどうかわかりませんが、しばらくは喧々囂々、内容について議論がされることでしょう。

「von Gott」の合唱の不自然なクレッシェンドについては散々言われてきたようですし、協会盤を聞いた人の書き込みでは「低弦でテーマが語り出される前の間は、EMI盤の方がよい」といった主旨の書き込みもありましたが、この「間」や、低弦のとんでもなく低い音量だって、テープ編集で作り出された可能性もあります。

この盤の発売によって、これまで50年間の幻想が打ち壊されるかもしれません。あるいは、可能性は低いかもしれませんが、反対にEMIのプロデューサーであったレッグの手腕が再評価されるのかもしれません。あるいは、新たな「ホンモノ」幻想が生み出されるのかもしれません。しかし、いずれにしても「これまでのはニセモノ。だからダメだ!」というヒステリックな議論にならないように祈ります。

とりあえず、届くのを楽しみに待つことにしましょう。
by 6_coloured_apple | 2007-12-02 02:09 | 音楽